顎関節症とは~女性に多く見られる症状
顎関節症(がくかんせつしょう)とは、あごを動かすとあごや頬、あるいはこめかみや耳の周りに痛みを感じる、口の開閉時に耳のあたりで音がする(関節雑音)、口を大きく開閉できないなどの症状が、同時・複合的に現れることが多い病気です。
そのなかでも「あごの痛み」「口が大きく開けない」ことを理由として病院を訪れる人が、もっとも多いと言われます。
後者の「口の開閉度合い」については、人差し指・中指・くすり指の三本を縦にして口の中に入れることができるかどうかがひとつの目安とされます。
顎関節症は、一般に女性に多くみられる症状で、特に10~20歳台の若い女性、また40~50歳台の中高年女性に多くみられます。
ただし女性、特に若い女性に顎関節症が多いことの原因・理由については、実はまだはっきりしていないのが現状です。
若い女性が目立つのは、一般に男性に比べて痛みに敏感な傾向があるため、病院を訪れる割合が高いという点もあるかもしれません。
顎関節症の症状がみられたとしても、特に痛みを感じない・日常生活にほとんど支障が無いなどの理由から病院を受診しない人も多く、有病者の中できちんと治療を受けている人は全体の7~8%程度にとどまる、とも言われています。
したがって顎関節症の潜在患者数は相当な数にのぼると推測されています。
顎関節症の原因~歯ぎしり・歯の食いしばり・噛み癖
顎関節は、体の関節のなかでも複雑な構造を持つものです。
頭蓋骨の側頭骨と、下顎の骨をつなぐのが顎関節ですが、頭蓋骨のくぼみの部分に、コラーゲンでできたクッション(関節円板)をはさむようなかたちで、下あごの骨が入り込むような構造になっています。
食べ物をそしゃくしているときは、この関節円板が、顎関節にかかる大きな圧力を軽減してくれています。
この顎関節、あるいは顎関節の周りの筋肉にも何らかの障害が発生することによって、上述した痛みなどの症状がひき起こされると考えられています。
顎関節症の障害は、(1)筋肉の痛み(2)靱帯など関節内部の障害(3)関節円板の障害(4)軟骨など骨の変形による障害、に分けられます。
多くの場合、障害は単独ではなく、複合的に現れます。
顎関節症の発生原因は、これまでは精神的ストレスや噛み合わせの悪さによる筋肉の緊張、あるいはあごのもともとの弱さなど、複数の要因があわさって起こるものとされてきました。
最近では、「日頃の生活習慣」とりわけ日常的な癖として無意識に行う「歯ぎしり」「歯の食いしばり」、また「睡眠中の歯ぎしり」や「噛み癖」が、主な原因として注目されています。
仕事で神経の緊張やストレスが続いた場合、知らず知らずのうちに顎の周辺の筋肉も緊張して、いわゆる歯を食いしばった状態が長く続いている人は決して少なくありません。
また睡眠中の歯ぎしりも自分ではなかなかわからないものであり、専門医の診察で歯の擦れ具合から指摘を受け、はじめて気がつく人も少なくありません。
睡眠中の歯ぎしりは、目覚めているときのそれに比べると顎にはるかに多くの負担がかかると言われます。
片方の側だけを主に使って食べ物を咀嚼するという、「噛み癖」は、虫歯の痛み・入れ歯の不具合などによって片側だけで噛むことを続けているうちに、いわゆる「利き顎」が出来てしまうものです。
よく使う側の顎の筋肉に過剰な負担がかかることで、顎関節症の発症・悪化にもつながっていきます。
顎関節症の治療~顎関節症専門医の診察を受けることの重要性
顎関節症の治療は、まず大事なのは「顎関節症の専門治療医」の診察を受けるのがもっとも確かです。
口の症状であることから、まず近隣の歯科医を訪れる人も多いのですが、歯科の一部には関節の治療を必ずしも専門としない医院もあるためです。
日本顎関節学会は、顎関節症の専門医制度を設けています。
顎関節症の治療方法は、原因に応じて多岐に分かれています。
主な治療法として、投薬治療、あごのストレッチなど日常生活上の習慣の改善指導、さらに睡眠中の歯ぎしり対策として歯の上にスプリントという器具をかぶせて、顎への負担を軽減していく方法などがあります。
他にも、超音波や電気的刺激を通じてあごの筋肉に刺激を与えたり、あごにかかる圧力を減らしていく理学療法などもあります。
顎関節症からくる歯ぎしりや歯の食いしばりのために夜よく眠れないという人には、睡眠改善薬や精神安定剤などが処方される場合もあります。
顎関節症は、完治こそ難しいものがありますが、日常生活上であごに負担のかかる行為を避けるよう意識しながら、医師の指導のもと癖を矯正していくことによって、痛みなどの症状を大きく軽減していくことが可能です。
顎関節症にお悩みの方は、まずは症状を特定して正しい治療の方向を知ることが第一となりますので、専門医の診察を受けることが最短距離と心得ておくようにしたいものです。
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